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2006/03/24//Fri.
Adonis




光から隠れるようにその少年は立っていた。
私を見つめて、懐かしげな笑みさえ浮かべて
突然のことに私は目をそらせた。
なんだか、裸で抱きつかれるような錯覚を覚えたのだ。

「ぼくを抱きたいのでしょう?」
少年の纏っている空気がゆらいで見えた。
彼に共鳴する私の何かが、交わり、離れていく。
顔も姿も覚えずに、感覚だけが強烈な残像を描いた。


2006/02/20//Mon.
甘い言葉
「このまま死んでもいいな。」
言葉は甘い香りを漂わせる。
一瞬息をとめ、空に言葉を探す。

そんな気持ちはないくせに。
貴方の言うサービス精神が発したものなのかしら。
それとも私が否定して背中を押すのを待っているの?

言葉は空気に溶け込んで、ほんのり熱を帯びる。
オンナノヨロコビソウナコトバヲ 
シゼンニクチニスルオトコガ イルモノダ
私は自分に言い聞かせる。

そうして熱は周りと同化し、痕跡すら残さない。
きっと貴方の記憶にも残りはしない。
失望を恐れる私は、そう結論付ける。

けれどもふいに貴方は、
記憶の底から甘いかけらをひきずり出してきて、
私を泣かせてしまうのだ。

妖冶のひとり語り-eroく、楽しく、美しく-

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