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2006/08/03//Thu.
【池袋ウエストゲートパーク】 *石田衣良

ヒカルはそういうとおれの右手を取って、ホルタートップの胸に押し当てた。
ノーブラ。どろどろと粘る熱い液体がつまった柔らかな風船。握りしめると指の間からなにかがこぼれそうだ。おれは勃起した。

ヒカルの胸をもみながら、おれは店のなかを見渡した。おれたちの正面では頭がうすくなりかけたオヤジとその妻という感じの地味なふたりが目を丸くしている。このカップルはパス。となりのリーマンとOL、そしてそのむかいの手慣れたふうの中年カップルもパス。

残るのは一番奥のソファの二組だけ。カップル喫茶では目を合わしたりしなければ、お互いにいくらしつこく見つめてもいいらしく(というよりみんなそうしている)おれには好都合だった。

一番奥の斜めまえのソファには、ジーンズ姿の学生がふたりはまぐりみたいにぴったり張りついていた。そのうちにやつらはジーンズを脱ぎ、下着も脱いだ。白いソックスははいたまま。不思議だ。

そして最後に、おれたちと同じ列の並びでソファをひとつ置いて、その男がいた。小便をするようなポーズを女にとらせ後ろからクリトリスをこすっている。女はまだ若く、十代の最後のコーナーをまわったあたり。アーアーアー。

男はふくろうのように首を振り周囲に視線を飛ばしていた。真ん中分けの髪。シュンの似顔絵よりやせて鋭そうな顔。だが、あのセンセイだった。おれはヒカルの耳に唇をつけて囁いた。ヒカルがため息を漏らす。

「手前の一番奥のカップル、よく見てくれ」
ヒカルは頬を染めたままうなずいた。そのまま前かがみになり、おれの太ももに顔をのせ乗りだすように奥のソファを見る。ヒカルの手はおれの盛りあがったファスナーのうえをなで続けている。しばらくすると、ヒカルはまたおれの首に抱きつき耳元でいった。



直木賞をとったのは「4TEEN」でしたが、シリーズも6を数えます。石田衣良の代表作でしょう。
官能シーンはほとんどありませんから、これは希少。

ホームレス、風俗嬢、不法滞在外国人・・・社会的に弱い立場の人たちもみんなしたたかに一生懸命生きている姿が小気味よいのと同時に、現代の問題も提示されている魅力的な作品だと思います。

そういえば男の子の部屋から、石田衣良の単行本を失敬して、読了後に売り飛ばしたっけ。(笑)

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