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2007/07/10//Tue.
IN THE DARK


果てしない闇のような錯覚を覚える夜の高速道路を
どのくらい走ったのだろうか。
俺は咽の乾きと寒さを覚えた。

自販機コーナーだけが明るい深夜のSAに入る。
シャッターで閉ざされた妙に狭い一角だ。
プシュッと音をたてて開いた飲み物の缶を口に運ぶ。

「寒いですねぇ。」

疲労と緩んだ意識に予想外の声が進入した。
俺が振り返ると、中年の女性が立っていた。

40過ぎくらいだろうか普通の主婦、
近所で出会えばあいさつぐらいはするが、
他のところで出会ったらちょっと見分けがつかない、
そんな感じの女性だ。

夫婦で、どこかへ出かける途中なのだろうか。
無意識にそれらしき人物を探すが、視界に入ってこない。
それどころか、その瞬間俺と女性しかこのスペースにはいないのがわかった。

「ああ。寒いね。」

とりあえず、相槌を打つ。
深夜見知らぬ男に親しげに話かけることは、
思わぬ攻撃をうけないための防御策になるのだろうか。
俺は、さっさと生理的欲求を満たして、立ち去ろうと思った。

「わたしと、温まらない?」

突然の言葉に、俺は間抜けな顔をしたに違いない。
攻撃を受けたのは、俺のほうだった。






男子トイレの個室に入るや否や鍵をかけ、
女は俺のベルトをはずしファスナーを開いてペニスを取り出した。

生で口にふくむ。
わざとちゅぱっちゅっぱと音をたてて、
猥らな雰囲気をもりあげる。

壁で囲まれているといっても、いつ誰が入って来るともわからない。
露出趣味などない俺だが、
そのスリルが拍車をかけるのだろうか見事に勃起した。

手馴れた風でゴムがつけられる。
女の舌がまとわりつく、
あま噛みし、上下に添いなであげ、
口の中でころがす。

俺は女の髪に指を入れ、快楽に身を任せた。
ペニスで女の口の中をかきまわし、つきあげる。

もやもやした律動が大きなうねりになり、
やがてとぎすまされ、
一点の出口へと押し寄せる。

女の反応も周りの気配も何も考えずに、ただ放出へと向かう。
「う。」

放出の瞬間、さっき別れをつげてきた彼女の顔が
フラッシュバックした気がした。

虚脱感にひたるまいと俺は機械的に身支度を整えた。
金は先に渡してある。
女が何かつぶやいた気がしたが、気に留めずに外へでた。

男子トイレの入り口付近にチンピラ風の若い男がいた。
俺を一瞥すると、目をそらす。
まるでそれが合図のようにどこから出てきたのか、
入れ違いのように男と女が入って行く。

駐車場の端にひっそりとミニバンが止めてあるのが見えた。
数人の女を乗せてSAに商売をさせに来ているのだろう。
若い男は女が逃げないように見張っているのか、
悪質な客を見張っているのかわからない。

「最低だな。」
俺は小さな乾いた声で笑った。

どういった事情にせよ、売春させられる女の人生を。
それを買う馬鹿な男を。

しかも・・・
その男は恋人の葬式の帰りだというのだから、
笑わずにいられない。

恋人の心の闇を追い払ってやることができずに、
自ら命を絶たれて、残された者がやることがこれかよ。

柚子葉・・
お前は残される者のことなど思いもしなかっただろうな。
俺がこんな馬鹿な行動をとるなんて、
こんなにもお前を愛していたなんて、
もはや知ることはないんだ。




*物語はフィクションです。実在の人物その他には関係がありません。

コメント

ストーリー読ませていただきました♪^^
文章に引き込まれて、
その場の情景や雰囲気を
頭の中でリアルにイメージできて、
youhaさんの秘めた魅力に触れさせていただいた気がしました^^
ストーリーの最後に自分と同じ名前を見た時は
どきっとしてしまいましたが(*^^*;
またお邪魔させてもらいますね~(^^)
柚子葉 URL 07/14//Sat. [編集]
洗練されてなくて、ごめんなさい。
ちと、忙しくて^^;

次回に期待してくださいね。(ホントか?)
youya URL 07/17//Tue. [編集]








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