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2006/03/15//Wed.
ー<兄妹>なのに。 ふいに怖れを感じた。 暁が怖ろしいのではない。怖ろしいのは、体の奥で蠢きはじめた何かだった。 |
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しっかり押さえていてもらわないと宙に浮きあがってしまいそうな心もとさの中に、期待のような、疼痛のようなものを感じ始めている、その自分が怖いのだ。
沙恵は、震えた。開けてはいけない扉のノブに手をかけ、今まさに回そうとしているような後ろめたさを、自分だけではない、暁のほうも感じていることがわかる。それが証拠に、彼の体はあまりにも熱く火照っていた。
どれほどの間そうしていただろう。
沙恵はふと、耳元で暁が何か言おうとしているのに気づいた。口をひらきかけてはためらい、また何か言いかけてやめる。言葉にできない思いのぶんだけ、腕が、まるで責め具のようにきつく沙恵の体を締めつけてくる。思わず悲鳴をもらして身をよじると、
<沙恵、俺・・・・>
暁は低く呻いた。
<俺・・・・・>
いきなり頭をわしづかみにされ、もぎはなされた。あまりにも間近から覗きこんできた暁にあっと思う間もなく、彼の唇が覆いかぶさってくる。
驚いて反射的に押しのけようとしたが、立ち上がりざまにのしかかってきた彼は噛むように唇を貪り、抉るように舌が送り込まれ、沙恵は目をみひらいて息を詰まらせた。背中から谷底へ落ちていくような感覚に思わずしがみつくと、暁の息がさらに乱れた。
まぶたの奥側が真っ白になり、頭の中がぐるぐるまわり出し、そのうちにはとうとう、暁の唇の荒々しい動きと、その体から発散される男っぽい匂いのほかには何も感じられなくなった。
気が遠くなるほど長い口づけの後で、暁はようやく体を離した。ものも言わずに見つめ合う。どちらの息も、同じくらい荒かった。
促したのは暁だったが、すでにそれは沙恵の望みでもあった。二人はもつれるように社の中に転がりこんだ。壁板の隙間から光が細く長くさしこむ中、服を脱がせ合うまではまだ互いにためらいがあったものの、肌と肌が吸いつくように合わさった瞬間、それどころではなくなった。
ゆっくりと暁が入ってきたとき、沙恵は思わず叫び声をあげた。痛みのためではなかった。あまりにも強烈な快感のためだった。たった二度目でこんなになるはずはないと思いながらも、どうすることもできなかった。
夜中に親たちの寝室からもれてくるのとそっくり同じその声は、沙恵自身の耳にもひどく淫らに聞こえ、暁にまでそんなふうに思われたくないという気持ちがほんのしばらくは彼女をつなぎとめていたが、彼が再び動き始めると理性のたがなどどこかへ吹き飛んでしまった。
<お兄ちゃん・・・・>
その名を口にするたび、体じゅうの血がものすごい勢いで満ち引きした。
<おにいちゃん・・・・・・っ>
ご存知直木賞受賞作品である。
まさに禁断の恋なのだが、存在しないわけではない。
妙に仲の良い兄妹を見ると、ひいてしまうのは私だけではないでしょう。
DNAが同じだけ、快感は計り知れないのだろうか。
しかし、本能的に拒んでしまうのもまたDNAの防衛システムの現れでしょう。
妄想だけでとどまれば、良いのですが・・・